※ 作品に関するデータはすべて受賞当時のものです。
第6回 大阪まちなみ賞 受賞作品 -1986- (昭和61年)
第6回大阪府知事賞
吹田市文化会館(メイシアター)
- 講評
-
前面道路との間に充分なスペースをとり、その道路沿いに遮断帯になる日本庭園風の緑地帯を設け、建物との間にある広場にも樹木を散在させ、また、建物全体を半階沈め、正面の左約3分の1を占める幅広い階段で2階のロビーに人々を導く、さらに、各階をセットバックさせて、それぞれ屋上庭園にしているなど、後退させながら変化のある壁面は威圧感がなく、広い空と各所に緑のあるゆったりとしたオープンスペースを生み出している。側面に近接している高架橋や背面の戸建住宅地に対しても思う程気にならず、めぐまれた条件を充分に生かした作品である。
建築位置 | 吹田市泉町2‐29‐1 |
---|---|
完成年月 | 昭和59年11月 |
建築主 | 吹田市 |
設計者 | 吹田市教育委員会 |
文化会館建設事務所 | |
株式会社東畑建築事務所 | |
施工者 | 竹中・前田・紙谷共同企業体 |
第6回大阪市長賞
オー・エム・ホテル日航ビル
- 講評
-
敷地中央に垂直にそびえる高層の客室部、その10階の壁から70°の角度で両側に裾広がりの形をした超高層ビル。
四周の道路沿いに緑を配し、特に御堂筋に面した正面にサンクンガーデンを設けて外光を導入すると共に地下ショッピングアーケードへ人を誘い、地下鉄への連絡路にもなっている。また、3階から下の壁はガラス面となり、白い斜めの柱列の間からロビーの光を垣間見せ、圧迫感を減少させると共に明るく華やかな雰囲気を醸成している。
ストリート・アーキテクチャーとしての性格を残しながら、高くかつ壁面をずらすことによってこの地区の活性化に成功しているし、遠くからも白いランドマークとして目立っている。
建築位置 | 大阪市中央区西心斎橋1‐3‐3 |
---|---|
完成年月 | 昭和57年9月 |
建築主 | 第一生命保険相互会社 |
株式会社朝日不動産 | |
設計者 | 株式会社竹中工務店 |
施工者 | 株式会社竹中工務店 |
第6回大阪府建築士会長賞
千里緑丘
- 講評
-
急斜面の敷地に段型配置をし、稜線を生かした家並みのカーブや屋根のある白い壁面に突き出したバルコニーを変化させて単調さをカバーし、明るく清潔で落ち着いた雰囲気の団地になっている。
敷地中央部の上下方向に階段のあるコミュニティゾーンを設け、頂上部に彫刻、最低部に異常降雨時の遊水池にもなりうる小広場などを配慮している。もう少し緑を焦点的に活用すれば、一層よくなるのではないかと感じた。
建築位置 | 豊中市北緑丘3‐1 |
---|---|
完成年月 | 昭和60年3月 |
建築主 | 住宅・都市整備公団関西支社 |
設計者 | 住宅・都市整備公団関西支社 |
株式会社遠藤剛生建築設計事務所 | |
施工者 | 福川建設株式会社 |
株式会社小林工務店 | |
株式会社藪内工務店 | |
林建設工業株式会社 | |
株式会社立山工務店 | |
モリタ建設株式会社 | |
睦工業株式会社 | |
株式会社伊部組 | |
豊國建設株式会社 | |
日新ビルダーズ株式会社 | |
株式会社浅川組 | |
岐建木村株式会社 | |
才門建設株式会社 | |
大末建設株式会社 | |
三和建設株式会社 | |
富國建設株式会社 | |
宮部建設株式会社 | |
真柄建設株式会社 | |
高藤建設株式会社 | |
三和相互建設株式会社 |
第6回特別賞
クラブ関西・堂島大阪ビルディング(全日空ホテル)と周辺の景観
- 講評
-
一般に、共同開発は利害が一致せず実現の難しいものであるが、この場合はお互いのメリットが合致して成功した例である。
ホテル敷地の南北に公開空地をとり、緑を加え、特に飲食店が並ぶ北側に豊かな感じを生んでいる。南の堂島川沿いにハイウェイが通っており、客室の高層部を北に寄せて狭隘感を避け、隣接するクラブ関西への影響を少なくしている。ホテルと新大ビルの間の道路はいずれ中之島遊歩道からの歩行者専用橋が接続する予定であり、ホテル前の歩道と共に新大ビル沿いの街灯のある幅広い歩道や北端の緑地がよみがえって、北新地の南入口の格調を高め景観向上に役立つことになる。
クラブ関西はアプローチ部分に、以前より緑がふえ、塀を低めて残された庭の樹々を歩道を歩く人にも見やすくし、塀の足元にも緑と照明を配慮し、屋根や壁の配色もおとなしく親しみ深いものにしている。ただ、塀沿いの電柱が目立ち、ハイウェイ側の緑道計画がなされていない点が残念であり、近い将来の改善に期待したい。
建物名称 | クラブ関西 | 堂島大阪ビルディング |
---|---|---|
建築位置 | 大阪市北区堂島浜1 | 大阪市北区堂島浜1 |
完成年月 | 昭和59年9月 | 昭和59年9月 |
建築主 | 社団法人クラブ関西 | 大阪建物株式会社 |
設計者 | 株式会社日建設計 | 株式会社日建設計 |
施工者 | 株式会社大林組 | 大林組・大成建設・鴻池組共同企業体 |
第6回特別賞
富田林寺内町城之門筋周辺
- 講評
-
社会経済の急激な変化の下で、古い家並みの保全は難問題の1つである。
従来の家並みが残っているというだけでは賞に該当するとは考えにくい。観光産業として昔の家並みを残したり、再現したりすることは、生活の資になるということで住民の合意は得やすいが、そこで生活しながら純粋に町の誇りとしての自覚の下に維持保全してゆこうとする例は少ない。
富田林寺内町の場合は現在、国の補助で復元工事が進捗しつつある家があるからではなく、一部の人々が補助金なしで自発的に補修し、町並みの旧態を維持しておられる実績を評価する。
昔ながらの町割、ごみのない道の中央に、排水溝に設けられた低く小さい石橋が残されており、町家正面の庇下は立格子が基調となり、庇から上は漆喰の白壁、本瓦葺、落棟や煙出しの変化など、江戸時代の町並みの景観が維持されている。今後とも行政の後援が一段と進み、お互いにその価値を認識することによって、無理なく保全が続けられることを期待する。
建築位置 | 富田林市富田林町 |
---|---|
建築主等 | 富田林寺内町をまもる会 |
第6回奨励賞
又一ビルディング
- 講評
-
旧建物ファサードの一部を新築建物ファサードに残し、その背後に広がる壁面をガラス張りにして、その対比効果でひき立てている。また、側面の出入口にもかつての雰囲気を残すデザインを活用している。
この保存技法は大阪で初めてであり、相当な犠牲を払って昔の御堂筋のメモリアルを実現されたことを評価する。
建築位置 | 大阪市中央区久太郎町3‐5‐13 |
---|---|
完成年月 | 昭和60年5月 |
建築主 | 又一ビルディング株式会社 |
設計者 | 株式会社竹中工務店 |
施工者 | 株式会社竹中工務店 |