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過去作品集

※ 作品に関するデータはすべて受賞当時のものです。

第30回 大阪まちなみ賞 受賞作品 -2010- (平成22年)

総評

本年の審査対象は80 件(建物76 件、まちなみ4 件)で、審査資料に基づいた1次審査で20 件(建物18 件、まちなみ2 件)を選出し、2 次審査である現地審査の対象とした。審査対象は個人住宅や集合住宅、学校教育施設、商業・業務施設等建物用途とともに規模も小さなものから大規模なものまで多種多様に渡った点が本年の特徴である。受賞された建築物も用途的にも規模的にも多様なものとなり、30 周年という長い歴史を背景に本賞の広がりを実感させるものであった。

また、写真の印象と現地の印象が大きく異なったことも本年の特徴であった。知事賞の認定こども園 あけぼの学園は写真では捉えられなかった既存樹の中での冒険心に富む子供の生き生きとした生活空間の創出や、建築士会長賞の永元寺 蕪坐離庵は小規模であるものの幹線道路側への意欲的な顔づくり、市長賞の日本生命 新南館は本館の伝統を継承しつつ街区周辺の緑化と相まった船場の品格ある街並み形成への寄与などが現地で強く感じ取れたことである。緑化賞の四天王寺学園小学校・四天王寺大学藤井寺駅前キャンパスも写真では色彩に疑問があったものの街路景観に対してはアクセント的に抑制し運動場側に対しては芝生の緑の広がりの中で大胆な展開を図り生き生きとした景観が創出されていた。環境技術が建築ファサードのデザインとして表出しているろうきん肥後橋ビルエスリードビル本町という2物件が奨励賞を受賞したことも大きな変換点の表れであろうか。土佐堀ダイビルの公開空地の緑化も二次林としての里山の風景を都心部に創出するものでありこれも環境共生時代を積極的に表現しようとしたものであろう。逸翁美術館は小林一三流の「茶の精神」を継承した景観創出への取り組み、特別賞の安中新田会所跡旧植田家住宅は歴史的環境の保全への取り組みといったように伝統文化の継承といった大きな社会的な流れをいずれも反映させたものである。

審査委員長: 増田 昇

第30回大阪府知事賞

認定こども園 あけぼの学園
講評
認定こども園 あけぼの学園

本施設は50年の歳月をかけて育まれた園庭の木々の中に冒険心に富むこどもたちの生き生きとした生活の場がみごとに生み出された作品である。生い茂る木々を抱くように屈曲した平面をもつ「南楓亭」とともに園庭を囲い込むように配置された「風の棟」は軒下の縁側のような外廊下でつながれ、狭さと広がりを併せ持つ軒下の縁側はこどもたちの格好の遊び場所となっている。園亭の木々は中高層の集合住宅地に囲まれたまちの中の豊かな「森」のような存在でもある。

審査委員長: 増田 昇
撮影者:メイン 絹  巻   豊
サブ 無有建築工房
概要
建築位置豊中市南桜塚2-14‐7
完成年月平成21年2月
主用途幼稚園・保育所
建築主学校法人あけぼの学園
設計者竹原義二/無有建築工房
施工者村本建設株式会社

第30回大阪市長賞

日本生命 新南館
講評
日本生命 新南館

御堂筋に建つ風格ある本館の石積みのデザインやディテールを受け継ぎ活かしながらも、この現代的なビルは地上75mの高さを仰ぎ見せるより、目前の紅葉した落葉樹や足元の馴染みある植え込みから開放的な空間を感じる玄関へ誘う。この企業の最新のこの建築は後日、平成の指標となることを願いつつも、周辺の自転車の駐輪状態の混乱は、交通と景観を考える今後の大阪市内における道路と建造物との早急な関連課題でもあると痛感する。

審査委員: 夏原 晃子
撮影者: 岡本 公二
概要
建築位置大阪市中央区今橋3‐16
完成年月平成21年1月
主用途事務所
建築主日本生命保険相互会社
設計者株式会社日建設計
施工者株式会社大林組・株式会社鴻池組・株式会社藤木工務店共同企業体

第30回大阪府建築士会長賞

永元寺 蕪坐離庵
講評
永元寺 蕪坐離庵

伝統の踏襲と逸脱、寺院建築には真逆のやり方があるが、“普通に居心地の良いお寺”を形にした例は少ないように思う。本作は、繊細な感覚と高度な技術でこれを実現した好例である。緩い勾配を下って高さを抑えた入口から中に入り開放感のある本堂に至る−その空間構成も周到だが、小断面集成材ラーメン構造を取り入れながら緻密にデザインされたディテールが秀逸。宗教建築の聖性を保ちながら寛げる空間を作り出した手腕を高く評価したい。

審査委員: 戸田 和孝
撮影者: 絹巻 豊
概要
建築位置堺市美原区菅生927‐1
完成年月平成21年6月
主用途ゲストハウス(宗教関連離れ住処)
建築主宗教法人永元寺
設計者株式会社アルキービ総合計画事務所
施工者トリスミ集成材株式会社

第30回緑化賞

四天王寺学園小学校・四天王寺大学藤井寺駅前キャンパス
講評
四天王寺学園小学校・四天王寺大学藤井寺駅前キャンパス

子どもたちが伸び伸びと駆け回ることができるよう全面に天然芝を敷きつめたグラウンドは、原色を使ったダイナミックなデザインの校舎との対比によって美しい景観をつくりだしている。この地は、かつて藤井寺球場があった場所であるが、広々としたグラウンドがその面影を感じさせてくれる。さらに、食育に資するよう農園を設けたり、地場の雑木を含めた多種多様の樹木を敷地周囲や中庭に植えることで四季折々に変化する緑景観を生み出している。

審査委員: 久 隆浩
撮影者: 高松伸建築設計事務所
概要
建築位置藤井寺市春日丘3‐1‐78
完成年月平成21年2月
主用途学校
建築主学校法人四天王寺学園
設計者株式会社高松伸建築設計事務所
施工者鹿島建設株式会社

第30回特別賞

安中新田会所跡旧植田家住宅
講評
安中新田会所跡旧植田家住宅

江戸時代中期の建物が、生活文化が変化する時々に改修が加えられ、現在にその歴史・文化を継承している貴重な建物群である。その保存事業として高く評価する。昭和30年半ば頃までの生活感がにじみ出ている。形態保存だけでなく生きた文化を伝承する意味で、施設内で様々な体験イベントが行われ、また情報伝達としてニュースレターも定期的に刊行されている。関係者の努力に敬意を表する。地蔵尊、井戸所等が存在しており波及効果を期待する。

審査委員: 大井 昇
撮影者: 阿南 辰秀
概要
建築位置八尾市植松町1‐1‐25
完成年月平成21年3月
主用途展示室・倉庫・収蔵庫
建築主八尾市
設計者株式会社内藤建築事務所
施工者株式会社乾工務所

第30回奨励賞

逸翁美術館
講評
逸翁美術館

閑静な住宅地の緩やかな坂道に沿って開かれた前庭が、人々を美術館へと招き入れる。前庭による建物の引きがボリューム感を押さえ、瓦のような深みのあるせっ器質タイルの外観が、しっくりとまちなみに溶け込む。前庭に面したカフェの窓が、まちの新たな風景となっている。この美術館に馳せる設計者の想いと、まちなみへのやさしい眼差しが感じられる端正な作品である。

審査委員: 指田 孝太郎
撮影者: 古川 泰造
概要
建築位置池田市栄本町12‐27
完成年月平成21年4月
主用途美術館
建築主財団法人逸翁美術館
設計者株式会社竹中工務店
施工者株式会社竹中工務店

第30回奨励賞

エスリードビル本町
講評
エスリードビル本町

ガラスで開かれた本町通りのファサードは、自然採光はもとより熱負荷を抑えるための自然通風機能も持ち、まちなみと対話するような表情が印象的である。外観のコンクリート,ガラス,金属の素材感が心地良いのは、ファサードのランダムなルーバーの配置やコンクリート打放し面の開口部の配置など、ビル全体に展開されているグラフィカルな表現の質の高さによるのだろう。隣接する敷地と公開空地の連続性をつくるため、壁の撤去を求める提案が、実現する事を望む。

審査委員: 藤本 英子
撮影者: 母倉 知樹
概要
建築位置大阪市中央区本町1‐4‐8
完成年月平成21年5月
主用途事務所
建築主日本エスリード株式会社 
設計者株式会社竹中工務店
施工者株式会社竹中工務店

第30回奨励賞

ろうきん肥後橋ビル
講評
ろうきん肥後橋ビル

環境テクノロジーがファサードをつくる。ガラスのダブルスキンで構成された端正な四ツ橋筋側正面、網状耐震要素とダブルスキンを組み合わせた奥行きと表情のある南北妻面は、ともに機能をデザインにまで昇華している。ハイテクの透明な外皮は、建物内部とまちとをやさしくつなぎ、オフィス街に心地よい空間を提供している。

審査委員: 中嶋 節子
撮影者: 東出 清彦
概要
建築位置大阪市西区江戸堀1‐12‐1
完成年月平成20年9月
主用途事務所
建築主近畿労働金庫
設計者株式会社日建設計
施工者株式会社錢高組

第30回奨励賞

土佐堀ダイビル
講評
土佐堀ダイビル

サッシュの抱きの部分が内テーパーになっている。外テーパーには光を受け入れたり、視野を広げたりの素朴な理屈があるが、内テーパーには作者が意図する「真っ黒な影」以上の何かがあるような気がする。計画者は意図を実現するが、芸術家は計画しないものに遭遇するために実験をする。表面材としての石、深い緑も魅力的だが、この「窓枠」の形状には全く違うものが潜んでいる。この逆テーパーは次のプロジェクトでさらに進化もしくは深化していくのだろうか?

審査委員: 天野 直樹
撮影者: 東出 清彦
概要
建築位置大阪市西区土佐堀2‐2‐4
完成年月平成21年7月
主用途事務所
建築主ダイビル株式会社
設計者株式会社日建設計
施工者株式会社竹中工務店・株式会社大林組・株式会社鴻池組共同企業体

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