第44回の審査を終えて
藤本 英子 審査委員長
本年度も多くの応募をいただき、審査対象は37件となった。その中で建物30件、まちなみ7件であり、ほぼ昨年同様の件数となった。
例年通り審査資料に基づき1次審査を行い、トップ13件を選出し、現地審査に挑んだ。現地視察は昨年同
様、現地での設計者等の説明を割愛し実施した。
視察後すぐに2次審査を実施、投票による審査の結果、トップに大阪府知事賞となる「茨木市文化・子育て複合施設 おにクル」が選ばれた。その後、上位の数件について慎重に審議を行い、「御堂筋ダイビル」を大阪市長賞に、審査員特別賞に「アーバンネット御堂筋ビル」を選出した。
本年度はこれまで選出してきた「緑化賞」と「建築サイン・アート賞」について、特別に選ぶことをしなかった。大阪都市景観建築賞という活動は、優れたものを選出することで、どのように計画することがまちなみに貢献できるのかを示す役割を持つが、近年の現地審査では緑もサイン・アートも、いずれも優れた設計で調和がとれている案件がほとんどとなっている。特にそのテーマを取り上げることで、全体の設計魅力に焦点が合わないのではないかとの意見もあり、トップ3賞以外の5件を奨励賞とすることとした。
奨励賞の「Cafe N+」は、背景の建築の瓦屋根を絶妙に借景とし、まるでその一部のように建てられている。「高槻市安満遺跡公園パークセンター」は、北摂の山並みを背景に、広い公園の広がりにむやみに主張することなく、水平の広い屋根をのせた建築が調和している。「イノベーションセンター MIZUNO ENGINE」は、大阪港の南港に魅力的な建築で新たな拠点づくりを、緑と共に実現している。「JPタワー大阪」は、大阪駅の重要な駅前の顔として、単体だけではなく周辺との関連性を地上でも2階レベルでも作り出し、変化ある視点場も形成している。「ONE DOJIMA PROJECT」では、巨大な造形物とも思える建築をまちなかに調和させるために、周辺での緑の十分な設え、まちかどへのアート作品の設置を行い、見上げの圧迫感を軽減している。
結果的には奨励賞が並ぶ形となったが、前述したように、小から大規模までその規模に関わらず作品としての総合力が高まったと捉えることのできる審査結果となった。
