第41回の審査を終えて
久 隆浩 審査委員長
本年の審査対象47件(建物43件、まちなみ4件)から、例年通り審査資料にもとづいた1次審査で11件を選出し、現地審査による2次審査を行った。
2次審査の結果、大阪府知事賞に「大東市公民連携北条まちづくりプロジェクト「morineki」」、大阪市長賞に「大丸心斎橋店本館・心斎橋PARCO」、審査員特別賞に「枚方市総合文化芸術センター」を選出した。
「大東市公民連携北条まちづくりプロジェクト「morineki」」は市営住宅の建替えを契機として、借上公営住宅と店舗・オフィス群、公園が一体となった景観を再構成しており、大東公民連携まちづくり事業株式会社との公民連携によるプロジェクトとしてもユニークなものとして評価ができる。「大丸心斎橋店本館・心斎橋PARCO」はヴォーリズ設計の旧館の外壁だけを切り取り、新しい建物につなげる手法を取っており、工法としてユニークである。「枚方市総合文化芸術センター」は、建物デザインだけでなく建物及び敷地緑化にも力をいれており、総合的に優れた景観デザインとなっている。今回は緑化賞の選考はなかったが、重複受賞が許されるならば本作品は緑化賞にも値するものであった。
奨励賞には「藤田美術館」「大阪中之島美術館」「ユニソン大阪事業所」「大阪学院大学高等学校新校舎」「4棟の家」の5作品を選定した。私設美術館、公設美術館、事務所、学校、住宅と、用途、そして規模としても多様な作品を選ぶことができた。とくに「4棟の家」は個人住宅として久々の受賞であり、今後もさまざまな建物が大阪の景観づくりのために貢献してくれることを期待する。
また、景観は建物デザインに目が行きがちであるが、「大東市公民連携北条まちづくりプロジェクト「morineki」」が示しているように、まちづくりとしてどのような協働、連携ができるかも重要であり、その成果が景観に現れる、まさしく「景観まちづくり」という観点からも考えていくことも重要である。